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by kklig

日朝会談、中朝関係にも影響

日朝会談、中朝関係にも影響
李 鋼哲(リ・ガンジェ)
延辺大学客員教授(中国)

『朝日新聞』2002年10月26日掲載

9月の日朝首脳会談と平壌宣言は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)と「友好関係」にあった中国に、対北朝鮮政策の戦略的な転換を迫ることになるだろう。

北朝鮮の予想外の譲歩と日朝の接近は、中国に困惑と懸念をもたらす。北朝鮮の不安定化は困るが、日本や米国に接近しすぎても別の不安定要因で困るのだ。

冷戦の終焉で朝鮮半島を中心とする北東アジアのパワーバランスは崩れた。韓国は旧ソ連、中国と国交を正常化したが、北朝鮮は米国、日本と関係改善ができず、国際的に孤立して経済的に深刻な打撃を受けた。

北朝鮮が困窮に陥ると一番困るのは中国である。北朝鮮が崩壊に直面し、東西ドイツの統一のように南が北を吸収統一したら、在韓米軍が中国国境まで押し寄せる可能性もあり、中国にとって軍事的な脅威が増大すると中国は認識している。北朝鮮から大量の難民が発生すると、中国はもっとも大きな被害を受ける。

92年の中韓正常化前後から中朝関係は急速に悪化した。中国側は91年の南北国連同時加盟を待って韓国との国交を樹立したが、北朝鮮からみれば中国の背信行為。中朝関係は急速に冷却し、北朝鮮首脳部は中国に対する強い不信感を抱くようになった。

革命世代による伝統的な友好関係は、金日成主席が亡くなると、有名無実になってしまった。トウ小平氏は何度も金正日国防委員長の訪中を要請し、「改革開放は北朝鮮が生き残る唯一の道」と助言したが、北朝鮮は耳を傾けなかった。

今度の日朝会談でも、事前に中国に通報したという情報はない。先月発表された「新義州経済特区」設置決定も事前に相談した形跡がない。国境近くに経済特区を設置しながらも中国側に配慮しなかったのは、中国を無視したことになる。経済特区の長官に任命された楊斌氏が中国当局に連行・軟禁されたことは、北朝鮮の対中無視に対する警告であるかも知れない。
by kklig | 2002-10-26 00:34 | コラム